弁護士ブログ

2020年6月12日 金曜日

保証に関する民法改正について

  令和2年4月1日より改正民法が施行されております。その改正の中で、保証人が個人である保証契約を締結する際には、極度額を定めなければその保証契約は効力が生じない旨が定められましたので、それに関する内容を紹介したいと思います。
1 従前の規定
  従前の民法では、保証人が個人であって、金銭の貸渡し、または手形の割引を受けることによって負担する債務(貸金等債務)を主債務の範囲に含む貸金等根保証契約については、極度額(端的に言いますと保証の限度額のことです。)を定めなければならないとされていました。しかし、この規律の対象とされた貸金等根保証契約以外の根保証契約についても、個人である保証人が予想を超える過大な責任を負うおそれがあり得ます。
2 改正の内容
  今回の改正において、極度額に関する規律の対象を、貸金等債務に限定することなく、保証人が個人である根保証契約(個人根保証契約)一般に拡大することとなりました。そのため、個人根保証契約は、主債務の範囲に含まれる債務の種別を問わず、書面又は電磁的記録で、極度額を定めなければその効力を生じないこととなります(改正民法第465条の2)。この規定は強行規定であり、特約で排除することができないものとなります。
  例えば、賃貸借契約や取引基本契約に基づく債務一切を連帯保証する旨の契約なども、今回の改正により上記規定の対象となります。
3 今後の対策
  個人の方を連帯保証人に立てる場合は、契約書に極度額の金額を必ず明記しておく必要があります。ただし、その金額をあまりに高額な金額とすると、保証人に過大な責任を負担させないようにするという法律の趣旨に反することとなり、無効と判断される可能性があります。そのため、極度額の具体的な金額については、主債務の内容等に応じて適当な金額を設定することが望ましいと思われます。
(弁護士東信吾)

投稿者 東・上田・大槻法律事務所 | 記事URL

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